【2026年最新】建設・リフォーム業の補助金活用法|GX・省エネ分野への新事業進出と事業計画のポイント
- 2026.10.13
- お役立ちコラム

建設・リフォーム業では今、資材価格や人件費の上昇、人手不足、価格競争などを背景に、従来事業だけに依存しない新しい収益の柱づくりが重要になっています。
そこで注目したいのが、これまで培ってきた施工技術や顧客基盤を活かした「新事業への進出」です。特に
・高断熱・省エネ住宅 ・ZEH ・省エネリノベーション ・太陽光発電・蓄電池 ・HEMS ・V2H ・木材を活用した家具・DIY事業
など、GX(グリーン・トランスフォーメーション)や省エネルギーに関連する分野は、中長期的な成長が期待される市場の一つです。
・GX:脱炭素と事業成長を両立する取組
・ZEH:省エネと太陽光などで、年間のエネルギー消費の収支をおおむねゼロにする住宅
・HEMS:家庭の電気使用量を確認・管理する仕組み
・V2H:電気自動車の電気を住宅で使う仕組み
こうした新事業への設備投資では、国の補助金を活用できる可能性があります。
今回は、建設・リフォーム会社が新分野へ進出した事例をモデルケースを用いて、2026年現在の補助金制度と事業計画を考えるうえで重要なポイントを解説します。
以下は、建設・リフォーム会社が新事業を検討するためのモデルケースです。ここでは投資額を税抜約3,000万円と仮定しており、実際の採択や、例示するすべての費用が補助対象になることを示すものではありません。
【2026年10月最新】現在は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」が公募
2025年度に実施されていた「中小企業新事業進出補助金」の公募は終了し、2026年現在は新たに「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」が実施されています。
2026年10月時点では、第1回公募について、
■申請受付開始:2026年9月30日
■応募締切:2026年10月30日18時
というスケジュールが公表されています。
建設・リフォーム会社が既存事業とは異なる新しい市場へ進出する場合、特に注目したいのが「新事業進出枠」です。
新事業進出枠では、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出に必要な設備投資等が支援されます。
補助率は原則1/2で、従業員数等に応じて補助上限額が設定されており、新事業進出枠の補助率は原則1/2です。従業員20人以下では上限2,500万円、賃上げ特例を適用する場合は3,000万円です。従業員101人以上では上限7,000万円、同特例適用時は9,000万円となります。補助下限額は750万円で、地域別最低賃金引上げ特例の要件を満たす場合は補助率2/3となります。
また、機械装置やシステムだけでなく、条件を満たせば建物費も補助対象となり得る点が特徴です。
ただし、「新しい建物を建てたい」「設備を購入したい」という理由だけで補助対象になるわけではありません。その投資が、新しい製品・サービスを、新しい市場へ展開するために必要なものなのかを事業計画の中で明確にする必要があります。
GX・省エネ事業なら補助金に採択されやすい?
日本では2050年カーボンニュートラルの実現に向け、GXや省エネルギーに関する政策が進められています。そのため、建設・リフォーム会社にとって、
「高断熱住宅 / ZEH / 省エネ改修 / 太陽光発電 / 蓄電池 / EV・V2H」
などは、新事業を検討するうえで有力な市場の一つです。しかし、
「GX事業だから採択されやすい」
「省エネ設備を導入すれば補助金が受けられる」
というわけではありません。
現行制度では、GXそのものが直接的な加点項目として設定されているわけではないためです。重要なのは、
自社の強み × 新しい顧客ニーズ × 成長市場 × 実現可能な投資
という視点で、新規事業そのものに市場性・収益性・実現可能性があることを示すことです。
建設・リフォーム会社のGX新規事業モデル
建設・リフォーム会社の場合、完全に未知の事業へ進出する必要はありません。むしろ、これまで蓄積してきた施工技術や顧客基盤を活かしながら、新しい商品・サービスへ展開することが重要です。

図解:建設・リフォーム会社のGX新規事業モデル
図解のように、「気密・断熱施工」「リフォーム施工」「木工加工」といった既存の強みを、
・高断熱・省エネ住宅
・省エネリノベーション再販
・モデルハウス・体験施設
・家具製造・DIY事業
といった新しい商品・サービスにつなげることができます。ポイントは、「GXだから新規事業を始める」のではなく、自社の既存技術を成長市場へ展開する。という考え方です。
たとえば、こんな新規事業が考えられます。
【高断熱・省エネ住宅事業】
これまで培ってきた気密・断熱施工の技術を活かし、高断熱・省エネルギー性能を重視した住宅商品を開発します。単なる新築住宅ではなく、「光熱費を抑えながら快適に暮らせる住宅」として付加価値を高めることで、既存事業との差別化につなげます。
【省エネリノベーション再販事業】
中古住宅を省エネ改修して再販売する事業も、事業アイデアとして考えられます。ただし、再販売する住宅の購入費や、販売する商品をつくるための費用は補助対象外です。この事業に必要な設備などについて、対象となる経費を別に確認する必要があります。
【モデルハウス・体験施設】
省エネ住宅は、Webサイトやパンフレットだけでは性能の違いが伝わりにくい商品です。そこで、
・高断熱性能
・太陽光発電
・蓄電池
・HEMS
・V2H
などを実際に体験できるモデルハウスやショールームを整備します。モデルハウスや体験施設の建設・改修費は、新事業だけに使用し、その実施に不可欠な施設として認められることが前提です。既存の住宅・リフォーム事業と共用する費用は対象外です。また、補助金で整備した施設の売却や賃貸などには制限があり、事前承認や返還が必要になる場合があります。
【家具製造・DIY事業】
自社大工や木工加工の技術を活用して、
・オーダーメイド家具
・DIYキット
・木工体験
・建築端材を活用した商品
などへ展開する方法も考えられます。住宅購入前の顧客との接点づくりにもつながり、将来のリフォーム・住宅受注につながる可能性があります。
約3,000万円規模の設備投資を「一つの事業」として考える
新規事業では、設備をバラバラに導入するのではなく、事業全体としてどのように売上につながるのか。を整理する必要があります。
例えば、「モデルハウス→省エネ性能を体験→住宅・リフォーム相談→3D CADで具体的なプラン提案→高断熱住宅・省エネリノベーション受注」というように、設備と顧客導線をつなげて考えます。
省エネ住宅を販売する事業は検討できますが、新事業進出枠では、太陽光発電設備とこれに一体不可分の附属設備は補助対象外です。蓄電池は、売電を行わない事業で、法令上の義務などにより補助事業の実施に不可欠と判断される場合に限り対象となります。モデルハウスで展示・体験するだけで対象になるわけではありません。HEMSやV2Hなどについても、個別に対象可否を確認する必要があります。
設備をたくさん導入すれば評価されるわけではない
補助金では、設備の数や投資金額の大きさだけが評価されるわけではありません。例えば、「V2Hが注目されているから導入する」ではなく、「高断熱・省エネルギー住宅という新商品の価値を顧客に体験してもらい、住宅受注につなげるためにV2Hを導入する」というように
新規事業 → 顧客への価値 → 必要な設備 → 売上
までが一貫している必要があります。
事業計画で押さえたい4つのポイント
補助金のためだけに事業計画を作るのではなく、事業そのものが成立するかを確認することが重要です。

図解:事業計画で押さえたい4つのポイント
確認すべきポイントは、大きく4つです。
1.本当に新しい事業か
新事業進出枠では、自社にとって新しい製品・サービスであり、かつ、これまで対象としていなかったニーズや属性を持つ顧客層へ提供することが必要です。住宅の性能を少し変えるだけ、販売地域を広げるだけでは対象にならない場合があります。
2.市場性があるか
顧客ニーズ / 市場規模 / 競合 / 商圏
などを調査し、実際に需要がある事業なのかを確認します。
3.収益性があるか
「誰に・何を・いくらで売るのか」を整理し、設備投資を行ったあとに十分な利益を確保できるのかを検討します。
4.自社の強みを活かせるか
施工実績 / 技術 / 顧客基盤 / 許認可 / 取引先 / 地域での信用
など、これまで蓄積してきた経営資源を新規事業に活かせるかも重要なポイントです。
補助金は「採択」で終わりではありません
補助金申請で誤解されやすいのが、採択されたらすぐに補助金が振り込まれるという点です。
実際には、採択されたあとにも複数の手続きがあります。

図解:補助金申請から入金までの流れ
基本的な流れは、
応募申請→ 採択→ 交付申請→ 交付決定→ 補助事業実施→ 実績報告→ 補助金額の確定→ 入金 です。
つまり、「採択=入金」ではありません。
補助金の入金後も、事業の進み具合などを報告する義務があります。本補助金では、補助事業が完了した年度の終了後から、初回を含め計6回の報告が必要です。また、従業員1人当たりの給与や職場で最も低い時給について定められた要件があり、未達成の場合は返還対象となることがあります。
また、申請時に計上した経費が、すべて補助対象として認められるとは限りません。
交付申請や実績報告の段階で、補助対象外と判断される可能性もあります。
採択後は「証拠書類」の管理が重要
特に建物や大型設備を伴う事業では、
見積書 / 見積内訳 / 発注書 / 契約書 / 請求書 / 振込記録 / 図面 / 設備仕様書 / 導入前後の写真
など、多くの書類を管理する必要があります。そのため補助金申請では、採択されるための事業計画だけではなく、採択された後に適切に事業を実施し、実績報告まで完了できる体制を事前に整えておくことも非常に重要です。
事業計画は「申請者自身で作成」が原則
2026年現在の「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」では、事業計画は申請者自身が作成することが求められています。一方、
・経営課題の整理
・市場分析
・新規事業の方向性整理
・数値計画
・投資内容の整理
・事業計画のブラッシュアップ
などについて、外部専門家から助言を受けることは可能です。そのため補助金支援を依頼する場合には、「事業計画を丸ごと代わりに作ってくれる会社」ではなく、経営者自身が事業計画を整理・作成できるよう伴走してくれる専門家を選ぶことが重要です。
行政書士法人リージョナルでは採択後まで見据えて支援
行政書士法人リージョナルでは、埼玉県を中心に、製造業・建設業・リフォーム業などの事業者様の補助金活用を支援しています。単に補助金申請を目的とするのではなく
・現在の経営課題
・自社の強み
・新規事業の方向性
・想定顧客
・市場性
・必要な設備投資
・売上・利益計画
・資金調達
・採択後の手続き
まで整理しながら、申請者ご自身が事業計画を作成できるよう支援しています。
また、補助金は採択されることがゴールではありません。交付申請や実績報告などを適切に進め、実際に補助金を受け取るところまで進める必要があります。
当法人では、これまで200件を超える補助金の採択後手続きに携わってきた経験を活かし、交付申請・実績報告についても継続してサポートしています。
まとめ|補助金を「設備を買うためのお金」で終わらせない
建設・リフォーム会社にとって、GX・省エネ分野は今後の新規事業を検討するうえで注目したい市場の一つです。ただし、「GXだから補助金が使える」「高額な設備を入れれば採択される」という考え方ではありません。
重要なのは、自社がこれまで培ってきた強みを、どの市場で、どのような顧客価値へ変えるのかを明確にすることです。そのうえで、
新規性 / 市場性 / 収益性 / 投資の必要性 / 実現可能性 / 自社の強み
を整理し、一貫した事業計画を作る必要があります。補助金ありきで新規事業を考えるのではなく、「今後5年、10年と会社を成長させるには、どの事業に進出すべきか」を最初に考える必要があります。
そして、その事業を実現する手段の一つとして補助金を活用し、補助金を会社の成長につなげるための重要な考え方です。
行政書士法人リージョナルでは、「自社でも活用できる補助金があるのか」「新規事業を考えているが、どのように整理すればよいのか」「建物や設備への大型投資を予定している」といった段階からご相談を承っています。
建設・リフォーム業で新たな事業への進出をご検討されている経営者様は、お気軽にご相談ください。
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※本記事は2026年10月13日時点で公表されている「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回公募要領(1.3版)」等の公式情報を確認して更新しています。要件、補助率、補助額、対象経費、公募日程は変更される場合があるため、申請前に公式サイトで最新情報をご確認ください。