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【2026年10月版】デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)を解説!申請の注意点と賃上げ・返還要件

  • 2026.10.14
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【2026年10月版】デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)を解説!申請の注意点と賃上げ・返還要件

デジタル化・AI導入補助金2026の申請枠と、申請前に確認したい条件

中小企業や小規模事業者の経営では、人手不足への対応、業務効率化、インボイス制度への対応などが重要な課題となっています。こうした課題の解決につながるITツールの導入を支援する制度が「デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)」です。

 

2026年度から名称が変更され、公式のITツール検索ではAI機能を備えたツールも探せます。ただし、AIを使っているという理由だけで、すべてのソフトウェアが補助対象になるわけではありません。登録されたITツールと、利用する申請枠の条件を確認する必要があります。

2026年10月13日時点で、通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠の第6次締切は、2026年10月30日(金)17:00です。

本記事では、第6次公募までの要件を中心に、主要な申請枠、賃上げ・返還要件、申請準備のポイントを解説します。第7次公募以降には追加の制度変更が公表されているため、その違いも後半で紹介します。

 

1. デジタル化・AI導入補助金の全体像と主要な申請枠

制度には複数の申請枠があります。ここでは、業務改善やインボイス対応、セキュリティ対策を検討する事業者が確認しておきたい3つの枠・類型を紹介します。このほか、インボイス枠(電子取引類型)や複数者連携デジタル化・AI導入枠も設けられています。

 

業務効率化やDX推進を支援する「通常枠」

通常枠は、自社の経営課題や業務上の課題を解決するITツールを導入し、労働生産性の向上を目指す事業者向けの申請枠です。補助額は、導入するツールの業務プロセス数によって異なります。

1プロセス以上:補助額5万円以上150万円未満

4プロセス以上:補助額150万円以上450万円以下

ここでいう「プロセス」は、販売管理、在庫管理、会計などの業務機能の区分です。導入するソフトウェアの本数を数えるものではありません。

補助率は原則1/2以内です。第6次公募まででは、2024年10月から2025年9月までの間に、当時の地域別最低賃金以上、かつ2025年度改定後の地域別最低賃金未満で雇用していた従業員が全従業員の30%以上となる月が3か月以上ある場合、補助率2/3以内の適用対象となります。最低賃金を下回る賃金で雇用していることを求める条件ではありません。

対象経費には、ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、一定の導入設定、研修、保守サポートなどが含まれます。対象となるのは、登録されたIT導入支援事業者が提供し、事務局に登録されたITツールです。

通常枠では、1種類以上の業務プロセスを持つソフトウェアの申請が必要です。汎用的な自動化・分析ツールだけを単独で申請することはできません。導入を検討するツールの登録内容と、必要な組み合わせを確認しましょう。

 

インボイス対応を支援する「インボイス枠(インボイス対応類型)」

インボイス対応類型は、インボイス制度に対応した「会計」「受発注」「決済」の機能を持つソフトウェアの導入を支援します。ソフトウェアの補助率は、補助金額の部分ごとに次のように分かれます。

補助金額50万円以下の部分:3/4以内(小規模事業者は4/5以内)

補助金額50万円超350万円以下の部分:2/3以内

「50万円」はソフトウェアの購入価格ではなく、補助金額の区切りです。補助額50万円以下では「会計」「受発注」「決済」のうち1機能以上、50万円を超える場合は2機能以上を備えることなど、機能要件も定められています。

対象ソフトウェアとあわせて使用するPC・タブレット等や、レジ・券売機等も対象となる場合があります。ハードウェアの補助率は1/2以内で、PC・タブレット等は補助額10万円以下、レジ・券売機等は補助額20万円以下です。ハードウェアだけで申請することはできず、導入する対象ソフトウェアの使用に役立つものである必要があります。

 

サイバー攻撃に備える「セキュリティ対策推進枠」

サイバー攻撃や情報漏えいのリスクに備えるための申請枠です。補助額は5万円以上150万円以下、補助率は中小企業が1/2以内、小規模事業者が2/3以内です。

対象は、IPAが公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されたサービスのうち、登録されたIT導入支援事業者が提供し、事務局に登録されたサービスです。サービス利用料は最大2年分が対象となります。市販のセキュリティ製品がすべて対象になるわけではないため、登録状況を確認してください。

2. 申請前に確認したい賃上げ要件・返還条件・財務書類

 

賃上げ要件は、過去の利用履歴と申請する補助金額で変わる

第6次公募までの通常枠では、IT導入補助金2022~2025の交付決定を受けていない事業者が補助金額150万円未満を申請する場合、賃上げ目標は原則として加点項目です。一方、次の場合は賃上げが原則として必須となります。

過去の交付決定がなく、通常枠で補助金額150万円以上を申請する場合:1人当たり給与支給総額の年平均成長率3%以上と、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上にする計画が必要です。

IT導入補助金2022~2025の間に交付決定を受けた事業者が通常枠に申請する場合:補助金額150万円未満でも、1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上が必要です。150万円以上では、地域別最低賃金+30円以上の条件も必要です。

「150万円」は申請する補助金額です。ソフトウェアや設備の購入価格と混同しないようにしてください。初めて申請する事業者でも、通常枠で補助金額150万円以上を希望する場合には、賃上げ要件の確認が必要です。

インボイス枠(インボイス対応類型)やセキュリティ対策推進枠にも、IT導入補助金2022~2025の交付決定を受けた事業者に対する、年平均成長率3.5%以上の賃上げ要件があります。

対象となる事業者は、交付申請時点の翌事業年度以降3年間の計画を策定し、実行します。交付申請時点で賃金引上げ計画を従業員に表明することも必要です。表明したと申告しながら実際には行っていなかった場合、交付決定の取消しにつながります。

なお、保険医療機関・保険薬局、一定の介護サービス事業者、社会福祉事業者、学校等には適用除外の規定があります。該当する事業の内容を、公募要領で確認してください。

 

「1人当たり給与支給総額」は、会社全体の給与総額とは異なる

1人当たり給与支給総額は、対象となる従業員の給与支給総額を、所定のルールで算出した従業員数で割って求めます。

給与支給総額には、給料、賃金、賞与、残業手当など、給与所得として課税対象となる経費が含まれます。役員報酬、福利厚生費、法定福利費、退職金などは原則として除きます。

対象者は、算出する各事業年度に全月分の給与等の支給を受けた従業員です。中途採用や退職により全月分の支給を受けていない従業員は、その事業年度の算出対象から除きます。パートタイム従業員の人数は、正社員の就業時間に換算します。産前・産後休業、育児休業、介護休業などに伴い時短勤務をしている従業員は、算出対象から除くことができます。

従業員を雇用していない法人については、例外として従業員を役員に読み替え、役員報酬と役員数で算出します。給与の対象範囲と人数のルールをそろえ、申請前に無理のない人件費計画を確認しておきましょう。

 

賃上げ目標を達成できなかった場合の返還条件

返還条件は、1人当たり給与支給総額と事業場内最低賃金で異なります。必要な報告を期限内に行わない場合も返還につながるため、補助金受給後まで見据えた管理が必要です。

1人当たり給与支給総額の増加目標が必須となる事業者については、3年間の事業計画終了時点で目標を達成できていない場合、補助金の全額返還を求められる場合があります。

ただし、付加価値額が増加しておらず、かつ3年間の事業計画期間の過半数で企業全体の営業利益が赤字となった場合や、天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合には、返還を求めない規定があります。「赤字になれば必ず返還不要」という意味ではありません。

通常枠で事業場内最低賃金の目標が必須となる場合は、最初に未達となった年度によって返還割合が変わります。1年度目で未達なら全額、2年度目で未達なら2/3、3年度目で未達なら1/3です。判定に使う地域別最低賃金は、効果報告期間開始時点のものとなります。

最低賃金の目標については、付加価値額の年平均成長率が1.5%に達しない場合や、天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合に返還を求めない規定があります。給与支給総額の目標未達とは例外の条件も異なるため、分けて確認してください。付加価値額は「営業利益+人件費+減価償却費」で計算します。

 

財務書類は、申請の早い段階から準備する

2026年度は、財務状況を確認するための資料の提出も必要です。法人では、履歴事項全部証明書、法人税の納税証明書に加え、直近分の貸借対照表と損益計算書を準備します。

個人事業主では、所定の本人確認書類、所得税の納税証明書、税務署の受領を確認できる確定申告書の控えに加え、所得税の青色申告決算書または収支内訳書を準備します。

納税証明書の種類、証明書の発行時期、確定申告書の受領確認方法などにも指定があります。補助率の引き上げや加点を希望する場合には追加資料が必要になることもあるため、利用する枠の公募要領と申請マニュアルを確認しましょう。

 

過去の交付決定がある場合は、再申請の制限も確認する

IT導入補助金2025の通常枠または複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者は、交付決定日から12か月以内に、デジタル化・AI導入補助金2026の通常枠へ申請することはできません。複数社連携IT導入枠のグループ構成員も含まれます。

この12か月の制限を、すべての申請枠に一律に当てはめることはできません。過去に利用した枠、交付決定日、今回利用する枠を確認し、それぞれの再申請条件や重複申請の制限を確かめてください。

 

第7次公募以降は、追加の制度変更がある

事務局は2026年10月9日に、第7次公募以降の制度変更を公表しています。通常枠の補助率2/3の条件では、確認対象期間が2025年10月~2026年9月となり、2026年度改定の地域別最低賃金を使うなど、判定条件が変わります。

また、賃上げ要件が適用される事業者には、3年間の年平均成長率に加え、1年後の1人当たり給与支給総額の向上に関する要件が追加されます。通常枠では原則3%以上、IT導入補助金2022~2025の交付決定を受けた対象事業者は3.5%以上です。

第7次公募以降に申請する場合は、本記事の第6次までの説明をそのまま使わず、申請する枠・類型の「第7回公募~」の公募要領で条件を確認してください。

【2026年10月版】デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)を解説!申請の注意点と賃上げ・返還要件

3. 申請から補助金受給までの不備を防ぐ実務ポイント

 

現場の課題と、ITツールによる改善内容を結び付ける

最初に整理したいのは、「なぜそのITツールが必要なのか」です。例えば製造業では、部署ごとに分散した在庫情報を一元化し、確認や転記にかかる時間を減らす、といった課題と改善内容を結び付けます。

小売業や飲食業では、POSレジと会計システムを連携し、売上集計や会計処理の手間を減らすという整理が考えられます。導入するツールが登録済みであることを確認したうえで、作業時間の削減やミスの減少など、期待する効果を具体化しましょう。

通常枠では、労働生産性の向上に関する3年間の計画も必要です。原則として1年後に3%以上、計画期間の年平均成長率3%以上の向上を目指します。過去に所定の枠で交付決定を受けた事業者には4%以上の条件があるため、利用履歴に応じて確認してください。

 

GビズIDプライムとSECURITY ACTIONを準備する

交付申請にはGビズIDプライムが必要です。マイナンバーカードと対応するスマートフォンを使うオンライン申請では最短即日、書類申請では審査に最大1か月かかる場合があります。即日取得が必ず保証されるわけではないため、申請方法に応じて早めに手続きを進めましょう。

あわせて、IPAの「SECURITY ACTION」で「★一つ星」または「★★二つ星」の自己宣言が必要です。2026年4月に開始した新しい管理システムでは、申込み直後に自己宣言IDが発行されます。

第2次公募以降は、旧システムで取得した「4」から始まる自己宣言IDでは申請できません。以前に宣言した事業者も、補助金申請に使用するGビズIDで新システムにログインし、自己宣言を申し込んで、新しいIDを取得してください。

 

契約・発注・支払いは、交付決定後に行う

通常の申請では、次の順番で手続きを進めます。

1.制度・申請要件を確認し、IT導入支援事業者と登録ITツールを選定する。

2.GビズIDプライム、SECURITY ACTION、必要書類と事業計画を準備する。

3.申請者とIT導入支援事業者で申請内容を作成し、申請者自身が確認・宣誓して提出する。

4.審査を経て、交付決定の通知を確認する。

5.交付決定後に発注・契約・導入・支払いを行う。

6.期限までに事業実績報告を提出し、補助金額の確定後に補助金を受け取る。

7.受給後も、必要な効果報告や賃上げ状況の報告を行う。

交付決定前に発注・契約・支払い等を行った経費は補助対象になりません。申請を提出しただけで導入を始めず、事務局からの交付決定を確認してください。補助金は後払いのため、導入費用をいったん自社で支払う資金も必要です。

なお、スマートレジの導入やPOSレジの改修等については、2026年9月15日以降の事前着手を対象とする別の取扱いが案内されています。申請受付は2027年1月頃の予定で、2026年10月13日時点では詳細な条件は公募要領の公表待ちです。通常の第6次公募で先に購入してよいという意味ではないため、対象と条件を確認する必要があります。

 

専門家の支援と、申請者・IT導入支援事業者の役割を理解する

デジタル化・AI導入補助金では、ITツールの選定、申請要件の確認、賃上げ計画の検討、財務資料の準備、導入後の証拠書類の管理などが必要です。自社だけでは判断が難しい部分は、早い段階で相談して整理すると準備を進めやすくなります。

行政書士法人リージョナルは、認定経営革新等支援機関として、自社に合う制度の整理や必要書類の確認、事業計画の検討などをご相談いただけます。埼玉県内を中心に、補助金活用を検討する中小企業の準備を支援しています。

ただし、この補助金では、申請者以外が申請手続きを代理で行うことは認められていません。交付申請は、申請者と登録されたIT導入支援事業者が共同で内容を作成し、申請者自身が確認・宣誓して事務局へ提出します。認定経営革新等支援機関とIT導入支援事業者は別の役割です。専門家へ相談する場合も、それぞれの役割を確認して進めましょう。

【2026年10月版】デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)を解説!申請の注意点と賃上げ・返還要件

4. 10月30日締切に向けて、条件の確認と準備を進めましょう

通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠の第6次締切は、2026年10月30日(金)17:00です。交付決定は2026年12月10日、事業実施・実績報告の期限は2027年5月31日17:00が予定されています。

申請前には、次の点を確認しておきましょう。

■導入するITツールと提供事業者は、事務局に登録されているか。

■自社の課題と、利用する申請枠・補助金額が合っているか。

■過去の交付決定による再申請制限や賃上げ要件に該当するか。

■GビズIDプライムと、新システムのSECURITY ACTION自己宣言IDを用意したか。

■必要な財務書類を準備し、対象となる賃上げ計画を従業員に表明したか。

■交付決定後の導入時期、支払い資金、受給後の報告まで見通せているか。

補助金を活用するうえでは、導入費用の軽減だけでなく、業務改善の効果と、継続して実行できる計画を確認することが大切です。申請枠や賃上げ要件の判断に迷う場合は、IT導入支援事業者や専門家に相談しながら準備を進めてください。

※本記事は2026年10月13日時点の公式情報を確認して作成しています。主要な条件は第6次公募までの公募要領に基づき、第7次公募以降の変更を別途記載しています。制度内容や日程は変更される場合があるため、申請時には利用する公募回の最新の公募要領・公式サイトをご確認ください。

 

公式情報・参考資料

デジタル化・AI導入補助金2026:事業スケジュール

第1回~第6回公募:通常枠 公募要領

第1回~第6回公募:インボイス対応類型 公募要領

第1回~第6回公募:セキュリティ対策推進枠 公募要領

第7次公募以降の制度変更のお知らせ

第7回公募~:通常枠 公募要領

IPA:SECURITY ACTION管理システムの案内

GビズID:プライムアカウントの申請方法・審査期間

スマートレジ導入等の事前着手制度のお知らせ